2009年4月19日日曜日

こころ 夏目漱石著

今回は高校の国語の教科書にも出ていたこの本を読んでみました。



私は高校時代国語が苦手で、正直なところ、何がなんだかさっぱりわかっていませんでした。この年になって改めて全体をじっくり読んでみて、「死」や「エゴ」といった大きなテーマと、描写のひとつひとつのきめ細かさを痛感しました。

文句の付けようのない名作ですが、名作として書かれるべくして書かれたというものではなく、「神経衰弱」にもなった夏目漱石の思いをそのまま描写したのかな、というようにも感じました。読んでいて実に痛々しく、途中で何度も読むのをやめようと思ったくらいです。

人にはいろいろな死に方があり、それをとりまき利用しようとする様々な形の「エゴ」も存在する。「エゴ」と「エゴ」のぶつかり合いは、悲しい結果しか生まない。でも人間は「エゴ」を捨てきることはできない。そうした「矛盾」は、激動の明治時代だけでなく、現在の世の中にも存在するのではないでしょうか。この「矛盾」を解決するのは不可能で、どうにかバランスを取って生きていくしかない。そんな教訓を私はこの本から得ました。

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