2009年1月29日木曜日

読書進化論 勝間和代著

本の読み方については、「本を読む本」等のような古典的(?)名著がありますが、今回取り上げた本は、ウェブをはじめとする複数のメディアと本との使い分けから始まり、本を読むことからアウトプットを出すこと、本を書くこと、そして本を売ることにまで触れています。



本を読んだ後のアウトプット方法などについては、勝間さんの本の読者がブログで具体的に記した内容を引用しており、同じ読者として大変参考になります。確かに、他人が本を読んだ感想を容易に知ることができるようになったのも、ウェブの発展のお陰ですね。

後半は、勝間さんが実際に本を書き、売り込んでいくプロセスについて。かなり具体的ですが、読者が実践できるかというと、すぐには難しいですね・・・。勝間さんも本書で「進化とは、突然変異ではなく、徐々に積み重ねた技術や労力が一定水準を超えたときに始まるもの」と述べられています。まぁこのブログを書くことの積み重ねを続けるといったようなことが重要ってことですよね。ていうか本を書くなんていう野心は今の私には全くありませんが・・・。(^ ^;;)

2009年1月27日火曜日

Audibleはおススメです!

日本ではあまりオーディオブック、つまり本を読み聞かせるメディアはあまりメジャーではないですが、アメリカでは一般的。中でもAudibleは、オンラインで安価なオーディオブックを購入できる便利なサイトです。iPodにも対応していて、ちょっとした時間を使って気軽に本を「読む」ことができます。勝間和代さんも推薦されているので、既にご存知の方も多いですよね。

このAudible、現在Gold会員になると、入会後の3ヶ月間は$7.49/monthという格安な値段で、毎月1冊ずつ好きなオーディオブックをダウンロードできます。会員にならなくても買えるのですが、1冊$10から$30ぐらいするので、「少なくとも3冊は買うぞ」という人にはGold会員が私的にはおススメ。

しかも、その3ヶ月が経過したのて解約しようとしたところ、「$20のクーポンあげるからやめないで」と言われました。とりあえずこの$20を使いきってから解約することにします。再度解約する時にもクーポンくれるかな・・・?

投資信託にだまされるな!本当に正しい投信の使い方 竹川 美奈子著

先日読んだ勝間さんの「お金は銀行に預けるな」に触発され、こんな本を読んでみました。



この本はまさに「お金は銀行に預けるな」の後に読むべきです。勝間さんが勧めていた「国内外の株・債権のそれぞれの投資信託に対して均等に投資していく」「(一括ではなく)毎月の積み立てで投資する」「定期的に投資対象間の配分額を調整する」という方法が何故良いかが理解できますし、具体的な証券会社や投信銘柄、手数料についても書かれているので、これを読めば即投資信託への投資が始められます。

150ページ程で文章も読みやすいので、皆さんも手に取ってみては如何でしょうか?

2009年1月26日月曜日

生きること学ぶこと 広中平祐著

今回は、数学界のノーベル賞と言われるフィールズ賞を受賞した広中平祐先生の本をご紹介します。



本書は著者である広中先生の自伝とも言える内容ですが、前半部分で「人はなぜ(全く日常で使わないようなことを)学ばなければならないのか?」ということに対する著者の考え方が述べられています。これに対する答えとして著者は、「知恵を身につけるため」、すなわち、例えば重要な決断をしなければならない時に、ズバッと適切な判断を下せるようにするためと述べています。

これについては私も同感。学校に通って様々な教科を勉強していく過程で多くの判断を繰り返し、いつの間にか社会人としてやっていく力が身に付くという感じですよね。私も大学時代は数学(と情報処理)を勉強しましたが、卒論・修論の内容は全くその後の仕事と関係ないです。でも、難しい課題を自分で設定し、それに対して頭を捻った経験が無ければ、例えばビジネススクールに行って勉強するというような意識は生まれなかったでしょう。

中間部分は、著者が如何にして「特異点解消」という数学的に大きな課題にアプローチしていったかが述べられています。特に①自分はアホだから失敗は当然と開き直る、②逆境をプラスに捉える、③課題解決のためにはまず仮説を立てる、という点がポイントですね。

その後、「ウォンツ(wants)」と「ニーズ(needs)」の違い、「ウォンツ」の大切さが語られています。すなわち、人生においては、必要とされることをやるのではなく、やりたい事をやるべきであり、それがおのずと成功につながる、ということです。これに似たようなことは、先日ノーベル賞を受賞された研究者の方々も主張されていました。「好きこそ物の上手なれ」ってことですね。

私も自分にとっての「ウォンツ」をしっかりと持たなければ、と感じさせられた1冊でした。

2009年1月22日木曜日

30歳からの成長戦略 「ほんとうの仕事術」を学ぼう 山本真司著

今回は、某外資系経営コンサルティング会社で15年のキャリアを積まれた山本真司さんの本を読んでみました。



本書の前半では、成長するためにはどんな仕事をすれば良いかについて、周囲から期待される成果と自分の仕事力の2つの軸で分類し、期待成果と仕事力の高いタスクを最優先にし、期待成果が低く仕事力が高いタスクを2番目、期待成果が高く仕事力が低いタスクの優先度を最低にすることが述べられています。自分の仕事力が低い領域のタスクで頑張ったとしても、他者と差別化できず高い評価が得られないためです。30歳からは成長より差別化が重要ということでしょうか。

また、ビジネススクールで学ぶようなマネジメントスキルは習得すべきだが、それに費やす時間は最小限にとどめるべきと著者は語っています。これは勝間さんをはじめ多くの方も主張されていますが、やはりアウトプットを主眼に置いた学習が必要であるということですね。ファイナンスやマーケティング等の知識習得にいくら時間をかけても、それを使ってアウトプットを出さなければ使い物にならないでしょう。実際には、多くのビジネススクールの授業でも、基本概念にあまり触れず、ケーススタディでの議論に重きを置いています。

最後に著者が主張しているのは、論理的思考法と全体的思考法、欲と無欲のコントロールについて。例えば、世間ではロジカルシンキングがもてはやされていますが、それだけでは実際のビジネス上の問題を解決することはできず、ビジネスを行う人間の感情も含めた全体も見る必要がある、ということです。また、自己主張欲については、モチベーション保持には重要だが、強すぎると他を受け入れられなくなる、ということですね。

しかし著者は、それぞれ対極にあるこれら2つの関係について、単純に足して2で割り妥協するというようなことは避けるべき、と主張しています。2つの別々の視点をそれぞれ合わせ持ち、片方からもう片方にキャッチボールをするように検討すべきとのこと。何だか哲学的ですね。

いずれにしても、他の自己啓発本とは一線を画する本です。興味のある方は読んでみては如何でしょうか?

2009年1月17日土曜日

ビジネスマンのための「解決力」養成講座 小宮一慶著

小宮さんの「養成講座」シリーズの中から、今回は「解決力」を選んでみました。



全体としては、世の中に数多く存在する問題解決法やロジカルシンキングの本と同じような内容なんですが、私がこれまでに読んだ中では最もわかりやすい部類に入ります。特に、なぜ「仮説思考」が必要なのかについては、私の頭の中のモヤモヤをすっきりと晴れさせてくれました。また、「問題が発生しないようにすることが一番大切」ということ、「80/20の法則で見るのは、どこに強みがあるかではなく攻め切れていないところはどこかを見つけること」など、目の鱗が落ちるようなことが散りばめられています。

くだらないツッコミをするとすれば、天橋立のマーケティングに関して、「温泉というのは、欲求になります」と記述している点。何で温泉→欲求になるのかが不明です。小宮さんはよっぽどの温泉好きなのかもしれませんが、私は温泉に対してそれ程の欲求はありません。(^ ^;;)

とは言え、得られるものは多い1冊でした。

お金は銀行に預けるな 金融リテラシーの基本と実践 勝間和代著

今回はまたまた勝間さんの本です。しかも勝間さんの専門分野のひとつである金融に関する本。私も一応米国のビジネススクールで経済やファイナンスについてはある程度勉強しましたが、日本のことはあまり知らないので、これをきっかけにちょっと金融本にも幅を広げてみようかな・・・。



前半半分では、ファイナンスの基本について「わかりやすく」述べられています。あえて括弧付きで「わかりやすく」と書いたのは、私が既に知っていることだからです。全く知らない人に対してわかりやすいかは、ちょっと判断が難しいところです。

「タダ飯は無い」というファイナンスの原理原則が繰り返し述べられており、その理由についても触れられているのですが、ファイナンスの「美しさ」をもう少し書いて欲しかったです。特にオプションは、全体像が理解できた時にはある種の感動を覚える金融商品ですが、言葉の説明だけで簡単に済まされてしまっていて、具体例を挙げられても全く知らない人には理解が難しいのではないでしょうか。わかりやすくすることを意識して中途半端に理論を語るのは、かえって混乱を招くのではないかな、と私は感じました。

ただ、後半の具体的な投資方法については、本当に「今日から実行してみよう」という気にさせられるような内容でした。勝間さんがご提案されているのは、国内外の株・債権のそれぞれの投資信託に対して均等に投資していく、という単純なもので、金融商品の選び方のポイントも具体的に示されています。

さらに最後には、投資とはどうあるべきかという点について、勝間さんの持論が語られています。つまり、そもそも投資というのは、世の中をより良くするためにあるのだということです。勝間さんがスーダンへの援助等を考えるようになった理由が、この部分を読んでより深く理解できました。

でも、「生命保険を定期逓減型にすべき」というのには、私としてはあまり賛成できません。定期逓減型の生命保険というのは、年をとると共に保険金の額が下がることで、掛け金も少なくなるというものですが、これが有効なのはシングルマザーである勝間さんだからではないでしょうか。確かに子供が自立すればそこに必要なお金は少なくなりますが、恐らく妻より先に死ぬであろう夫にとっては、単純に保険金を減らすという考えはできないと私は思います。残された妻に多額の介護費用がかかるということもあり得ます。

「お金は銀行に預けるな」というタイトルも、マーケティングとしては優れていますが、誤解を招く恐れがあります。手元資金の少ない私のような人間は、普通預金の「流動性」が必要です。リスクフリーな国債に変えるのは、むしろ危険と言えるかもしれません。もちろん本文の中では、流動性に関しても触れられているのですが・・・。

いずれにしても、「投資をはじめよう」と思わせるおススメの一冊でした。

2009年1月12日月曜日

新聞の厚さに見る不景気

最近の新聞(私が読んでいるのは日経)が薄くなってきている気がしますが、皆さんそう感じませんか?不景気で広告が少なくなっているようです。

こんなところにも不景気の影響が出ているんですねぇ・・・。

2009年1月10日土曜日

ワークライフ“アンバランス”の仕事力 田島弓子著

昨今日米を中心にさかんに言われている「ワークライフバランス」ですが、今回はその全く正反対のことについて書かれた本を読んでみました。



仕事に対して徹底的に「ハマる」ことで、モチベーションが高まりかつ高いアウトプットを出せるようになる、というのが著者の主張です。その他、人を動かすためには自分がどう行動すべきか、未知の仕事に対してどう対処するかなど、著者の具体的経験から生まれたノウハウが紹介されています。

私にとって最も印象的だったのは、「キャリアとは『作る』ものではなく『作られる』もの」であるという主張。よく会社の上司や人事は、「5年先、10年先のキャリアを考えろ」と言いますが、その方向が自分の適性に合うかどうかは、実際にやってみないとわからない。だから、あれこれ考えるよりも目の前の仕事にとことんのめりこむべき。私的にはとても納得です。

しかし、人生全てを仕事につぎ込む、というのは少し行き過ぎかと。著者もご結婚されているので理解しているとは思いますが、家族との時間も大事ですよね。まぁ本を売るためのマーケティング戦略として、昨今主張されている「ワークライフバランス」にあえて反論するようなタイトルを付けたのでしょう。いずれにしても、読みやすくてとても良い本です。

本日の日経PULS1

今回は、日経の土曜版についてくる日経PULS1に載っていた「冬のボーナスをどのくらい貯金するか」というテーマの調査結果の記事についてです。

その記事に出ていた円グラフを見ると、何と「もらっていない」という人が39%!
「いくら不況と言ったってそこまでとは!」と思わず驚いてしまいましたが、記事を読んでみると「専業主婦やリタイヤした人も含まれているためだろう」とのこと。ちょっと、、、調査対象間違えてない?

多くのビジネスパーソンが読んでいる日経の記事だけに、ちょっと批判的になってしまいました・・・。(^ ^;;)

2009年1月7日水曜日

最少の時間と労力で最大の成果を出す「仕組み」仕事術 泉正人著

「レバレッジ」シリーズ著者の本田直行さんが推薦しているということで、こんな本を読んでみました。



ルーティンワークを全てチェックシート化して、誰でもできるようにすることで、頭を使う仕事に対する時間を増やそうというのが、著者の主張です。効率化に関する本には大抵書いてあるようなことですが、細かいところのこだわりに「なるほど」と感じるところがありました。例えば、うまくいったときのやり方のデータを取っておくことで、成功体験を仕組み化することや、他人を信頼すること、仕事にいちいち優先順位を付けないこと、長期的に考えるべきことをスケジュールに定期的に書き込んでおき、スキマ時間でも考えられるようにすること等は、私も取り入れていきたい点です。

全体的に非常に読みやすく、特にあまり仕事の効率化に関する書籍に触れていない方にはおススメです。

2009年1月6日火曜日

ビジネスマンのための「発見力」養成講座 小宮一慶著

以前読んだビジネスマンのための「数学力」養成講座が含まれる「養成講座」シリーズから、今回は「発見力」を読んでみました。



情報が溢れる現在、その情報を「捨てる」ことについては、勝間和代さんをはじめ多くの方が述べていますが、情報を「発見する」ことについて書かれた本は少し珍しいのではないかと思います。しかも本書では、冒頭に新幹線の自動改札が乗車券と特急券をどのような順序で吐き出すかが述べられるなど、なかなか気付くことのできない事実が散りばめられており、それらを知るだけでも雑学として使えそうです。

また、「景気が悪くなると企業は3K(交通費、交際費、広告費)を削る」ということや、拡大している介護市場より、少子化の塾市場の方が儲かっているのはなぜか、手元流動性と借り入れの関係、儲かっているレストランとそうでないレストランの見分け方など、実際にビジネスを考えるのに役立つ視点が数多く示されています。「ザ・ゴール」では、忙しくしている工場は十分儲かっていないという見方が書かれていましたが、レストランは逆なんですね。

さらに、新聞は興味のあるところだけではなく、一面から順にすべて目を通すべき、興味の無い雑誌も読んでみるべき、といったことも著者は薦めています。これはまさに「捨てる」の逆ですが、貧乏性の私としてはすぐに取り入れられそうなポイントです。(^ ^;;)

小宮さんの「養成講座」シリーズはハズレがないですね。近いうちに「解決力」も読む予定です。

アイデアのちから チップ・ハース、ダン・ハース著 飯岡美紀訳

今回は、あの勝間和代さんが「この本のアイデアを他の人に知ってもらうと、私のアイデアの発想の一部がネタバレしてしまうため、あまり広めたくない気持ちもある」とまでおっしゃっていた本を読んでみました。



いきなり冒頭で臓器狩りの話が語られ、「一体どんな本なんだ!?」と思わせられる本書は、「アイデアの見つけ方」ではなく、「如何にアイデア(ものごと)を相手の印象に残すか」について述べています。まさに冒頭の臓器狩りの話は、私の頭からなかなか離れません。

ポイントは"SUCCESs"、つまり、Simple(アイデアを単純明快なものにする。ただしアイデアの本質は失わせない)、Unexpected(アイデアに意外性を持たせる。ただし本質とかけ離れてはならない)、Concrete(アイデアを具体的に伝える。ただしあまり細かくなってはならない)、Credible(アイデアに信頼性を持たせる)、Emotional(アイデアで感情に訴える)、Story(アイデアに物語性を持たせる)の6つ。これらについて、さまざまな具体例が挙られ、なぜある方法がダメなのか、なぜ別のある方法が良いのかが書かれています。

書かれていることは、コミュニケーション技術(ライティング技術?)でもあり、「ビジョン」の示し方でもあり、非常に多くの場面で応用できる内容です。翻訳もしっかりしているので、興味のある方は是非一読されることをお勧めします。

起きていることはすべて正しい 勝間和代著

勝間和代さんの新しい本を、遅ればせながらようやく読みました。



勝間さんというと、「ロジカルシンキング」という感じですが、本書ではそういったこととは全く異なる部分での「勝間さんの生き方」が書かれています。まず勝間さんが本書で薦めているのは、「メンタル筋力」を強くすること。「メンタル筋力」というのは勝間さんが定義された新しい言葉でしょうか。ストレスをコントロールし、読書をはじめ徹底した疑似体験の量を積むこととのことです。この部分には勝間さんが「ひきこもり」だったことなど、意外な一面を垣間見ることで、「勝間さんのような人だからできるのでは?」という考えが一掃されます。また、黒木瞳さんをはじめとする著名人の「メンタル筋力」についても書かれていて、大きな納得感があります。

次に出てくるのが、「潜在意識を最大限に利用する」こと。私も受講したフォトリーディングが大きな要素のひとつですが、その前提にある「与えられた機会を最大限に活かす」、「感じたことをなるべく使う」、仏教の教えにもある「三毒追放」、そして本書のタイトルでもある「起きていることはすべて正しい」ということについて、なぜそれらが大事なのかが書かれています。特に「三毒追放」は「妬まない、怒らない、愚痴らない」ということで、私も耳が痛いですが、勝間さんはコンサルティング会社に勤務されていた頃には、デスクの脇にこれを大きな文字で紙に書いて貼っておいたそうです。

さらに、「捨てる」技術の重要性も語られています。この技術を磨くことによって、大事なときに即断即決できるようにし、即断即決そのものが良い結果を生み出すということが、勝間さんのご経験と共に書かれています。貧乏性な私にとっては、ここが一番取り入れるのが難しそうです・・・。

また、人との出会いを活かし切り、自分・相手の「パーソナル資産」を増やすべき、ということも述べられています。ここでは勝間さんの貪欲なまでの「人との出会い」の活かし方を知ることができます。私も最近は勉強会などの機会があれば、できるだけ足を運ぶようにしていますが、ただ足を運ぶだけではダメですね。

最後に、自分をしっかりと持ち(アサーティブ)、筋の通った「わがまま」を言うべき、ということが主張されています。このあたりは、東響コーラス等でプロの音楽家の「こだわり」をいろいろと見てきたので、非常に入り安かったです。飯森範親先生あたりは、特に「こだわり(わがまま?)」が強く、それによってある種のカリスマ性までもが生まれている良い例です。

ということで、今回も役立つ情報盛り沢山の勝間本。売れ行きも好調のようですので、まだ読んでいない皆様も、手にとってみては如何でしょうか?

調べる技術・書く技術 野村進著

書名を見ると「ビジネス書かな?」と思ってしまいますが、この本は非常に「深い」です。



本書では、ノンフィクション作家である著者の仕事に対する拘りが書かれています。テーマが「時代を貫く普遍性を持っている」「未来への方向性を指し示している」「人間の欲望が色濃く現れている」「テレビなどの映像メディアでは表現できない」「テーマを聞いた第3者が身を乗り出してくる」ようなものを書く。この辺りまでは、ノンフィクションを書く上での心構えという感じでしょうか。

また、ノンフィクションを書く上での事前調査において、図書館で借りるのではなく、自腹を切って本を買う、特に若いうちはネットではなく書店に足を運び、実際に本を手にとって比較検討した上で購入する、ある分野でひとかどの人物になりたければ、その分野の本を一月に2,3冊読む、といったことを奨励しています。この辺りの考え方は、読書術に関する本の著者にも同じような考えをお持ちの方がいますね。

本書の核心となる部分は、後半の「人物を書く」「事件を書く」「体験を書く」という部分です。著者が執筆したノンフィクションを引用している部分が多いのですが、私はそれぞれの世界に引き込まれました。「良いノンフィクションとはこういうものか」と唸らされます。

ノンフィクションに興味が無い方(私もこの本を読むまではそのうちの一人でした)でも、非常に「味わえる」本ですね。

2009年1月5日月曜日

ベートーベン「第九」とジョン・アダムズ「花咲く木」

既に昨年の話になってしまっていたが、東響コーラスに復帰して初めての年末。計6回のベートーベン第九と、12月6日には日本初演となるジョン・アダムズ作曲のオペラ「フラワリング・ツリー(花咲く木)」。第九では約3年間のブランクを痛感しましたが、花咲く木に参加できたのは貴重な経験でした。

演出家のピーター・セラーズも凄いですが、やはりこの難曲を見事に纏め上げたマエストロ大友先生は、さすがという感じ。いろいろなところで論評が出ており、曲そのものについては賛否があるようですが、オケ・コーラスは概ね好評を得たようです。

東響コーラスの次回公演は、西本先生マーラー交響曲2番「復活」。これまた難曲(コーラスはそうでも無い?)で、今話題の西本先生がどんな指揮をするか、非常に楽しみです。お時間・ご興味のある方は是非聞きに来てください!(まだオーディションが終わっていないので、私が出られるかどうかはわかりませんが・・・^ ^;;)

アイドルのウエストはなぜ58cmなのか 飯田朝子著

新年早々妙なタイトルの本です。



内容は、数字に関する雑学です。雑学とは言え、例えば古文等も多数引用しており、かなり深いものがありました。

「二十」は「果て」なる区切りの数字(二十歳【ハタチ】)、「百」は「もろもろ」の多数、「千」は物が「散る」様をあらわす、「万(よろず)」はありとあらゆるものが寄り集まった多数・大量の概念を表す・・・などなど。無意識に区別していたものに対して、明確な理由付けが得られました。が、若干マニアックな部分もあり、それ以上何か得たかというと・・・です。(^ ^;;)

雑談に使えるネタが盛り沢山という点では、非常におススメな本です。