2009年1月17日土曜日

お金は銀行に預けるな 金融リテラシーの基本と実践 勝間和代著

今回はまたまた勝間さんの本です。しかも勝間さんの専門分野のひとつである金融に関する本。私も一応米国のビジネススクールで経済やファイナンスについてはある程度勉強しましたが、日本のことはあまり知らないので、これをきっかけにちょっと金融本にも幅を広げてみようかな・・・。



前半半分では、ファイナンスの基本について「わかりやすく」述べられています。あえて括弧付きで「わかりやすく」と書いたのは、私が既に知っていることだからです。全く知らない人に対してわかりやすいかは、ちょっと判断が難しいところです。

「タダ飯は無い」というファイナンスの原理原則が繰り返し述べられており、その理由についても触れられているのですが、ファイナンスの「美しさ」をもう少し書いて欲しかったです。特にオプションは、全体像が理解できた時にはある種の感動を覚える金融商品ですが、言葉の説明だけで簡単に済まされてしまっていて、具体例を挙げられても全く知らない人には理解が難しいのではないでしょうか。わかりやすくすることを意識して中途半端に理論を語るのは、かえって混乱を招くのではないかな、と私は感じました。

ただ、後半の具体的な投資方法については、本当に「今日から実行してみよう」という気にさせられるような内容でした。勝間さんがご提案されているのは、国内外の株・債権のそれぞれの投資信託に対して均等に投資していく、という単純なもので、金融商品の選び方のポイントも具体的に示されています。

さらに最後には、投資とはどうあるべきかという点について、勝間さんの持論が語られています。つまり、そもそも投資というのは、世の中をより良くするためにあるのだということです。勝間さんがスーダンへの援助等を考えるようになった理由が、この部分を読んでより深く理解できました。

でも、「生命保険を定期逓減型にすべき」というのには、私としてはあまり賛成できません。定期逓減型の生命保険というのは、年をとると共に保険金の額が下がることで、掛け金も少なくなるというものですが、これが有効なのはシングルマザーである勝間さんだからではないでしょうか。確かに子供が自立すればそこに必要なお金は少なくなりますが、恐らく妻より先に死ぬであろう夫にとっては、単純に保険金を減らすという考えはできないと私は思います。残された妻に多額の介護費用がかかるということもあり得ます。

「お金は銀行に預けるな」というタイトルも、マーケティングとしては優れていますが、誤解を招く恐れがあります。手元資金の少ない私のような人間は、普通預金の「流動性」が必要です。リスクフリーな国債に変えるのは、むしろ危険と言えるかもしれません。もちろん本文の中では、流動性に関しても触れられているのですが・・・。

いずれにしても、「投資をはじめよう」と思わせるおススメの一冊でした。

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