2009年1月6日火曜日

調べる技術・書く技術 野村進著

書名を見ると「ビジネス書かな?」と思ってしまいますが、この本は非常に「深い」です。



本書では、ノンフィクション作家である著者の仕事に対する拘りが書かれています。テーマが「時代を貫く普遍性を持っている」「未来への方向性を指し示している」「人間の欲望が色濃く現れている」「テレビなどの映像メディアでは表現できない」「テーマを聞いた第3者が身を乗り出してくる」ようなものを書く。この辺りまでは、ノンフィクションを書く上での心構えという感じでしょうか。

また、ノンフィクションを書く上での事前調査において、図書館で借りるのではなく、自腹を切って本を買う、特に若いうちはネットではなく書店に足を運び、実際に本を手にとって比較検討した上で購入する、ある分野でひとかどの人物になりたければ、その分野の本を一月に2,3冊読む、といったことを奨励しています。この辺りの考え方は、読書術に関する本の著者にも同じような考えをお持ちの方がいますね。

本書の核心となる部分は、後半の「人物を書く」「事件を書く」「体験を書く」という部分です。著者が執筆したノンフィクションを引用している部分が多いのですが、私はそれぞれの世界に引き込まれました。「良いノンフィクションとはこういうものか」と唸らされます。

ノンフィクションに興味が無い方(私もこの本を読むまではそのうちの一人でした)でも、非常に「味わえる」本ですね。

0 件のコメント: