2009年1月26日月曜日

生きること学ぶこと 広中平祐著

今回は、数学界のノーベル賞と言われるフィールズ賞を受賞した広中平祐先生の本をご紹介します。



本書は著者である広中先生の自伝とも言える内容ですが、前半部分で「人はなぜ(全く日常で使わないようなことを)学ばなければならないのか?」ということに対する著者の考え方が述べられています。これに対する答えとして著者は、「知恵を身につけるため」、すなわち、例えば重要な決断をしなければならない時に、ズバッと適切な判断を下せるようにするためと述べています。

これについては私も同感。学校に通って様々な教科を勉強していく過程で多くの判断を繰り返し、いつの間にか社会人としてやっていく力が身に付くという感じですよね。私も大学時代は数学(と情報処理)を勉強しましたが、卒論・修論の内容は全くその後の仕事と関係ないです。でも、難しい課題を自分で設定し、それに対して頭を捻った経験が無ければ、例えばビジネススクールに行って勉強するというような意識は生まれなかったでしょう。

中間部分は、著者が如何にして「特異点解消」という数学的に大きな課題にアプローチしていったかが述べられています。特に①自分はアホだから失敗は当然と開き直る、②逆境をプラスに捉える、③課題解決のためにはまず仮説を立てる、という点がポイントですね。

その後、「ウォンツ(wants)」と「ニーズ(needs)」の違い、「ウォンツ」の大切さが語られています。すなわち、人生においては、必要とされることをやるのではなく、やりたい事をやるべきであり、それがおのずと成功につながる、ということです。これに似たようなことは、先日ノーベル賞を受賞された研究者の方々も主張されていました。「好きこそ物の上手なれ」ってことですね。

私も自分にとっての「ウォンツ」をしっかりと持たなければ、と感じさせられた1冊でした。

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