2009年3月2日月曜日

悩む力 姜尚中 著

先日NHKに姜尚中が出ているのを見て、氏のベストセラー本を読んでみました。



本書で著者は、夏目漱石とマックス・ウェーバーの著書や生き方を引用しながら、以下の9つの「悩み」について語っています。

1.「私」とは何者か
2.世の中全て「金」なのか
3.「知ってるつもり」じゃないか
4.「青春」は美しいか
5.「信じる者」は救われるか
6.何のために「働く」のか
7.「変わらぬ愛」はあるか
8.なぜ死んではいけないか
9.老いて「最強」たれ

夏目漱石については、恥ずかしながら教科書に出てきたものを読んだ程度であり、マックス・ウェーバーに至っては、全く読んでいない私ですが、それでも非常にわかりやすい本。全体を通して著者は、悩みを抱えることで人間は成長できる、ということを主張しており、悩んでいることを肯定できるようになる1冊です。

個人的に特に印象に残ったのは、「人は相当の苦悩にも耐える力を持っているが、意味の喪失には耐えられない」という精神医学者で思想家で、アウシュビッツの強制収容所に収容された経験も持つV.E.フランクルの言葉の引用。「人は自分の人生に起こる出来事の意味を理解することによって生きて」いるというのが本引用に対する著者の解釈で、自殺する人の数が多い現代では、この「意味の喪失」と常に隣り合わせである、と著者は主張しています。実は私も、少し前にこういう状態に陥りそうになった時期があり、強く共感を得ました。皆さんは如何でしょうか?

一方、最後の章で著者は、「『死』を引き受けて、『怖いもの』なし」と述べ、著者自身のいくつかの「夢」を語っています。役者になりたいだとか、映画を作りたいだとか、ハーレーに乗って日本列島や朝鮮半島を縦断したいといったことを、「生き生きと」語っています。悩み抜き、悩みを乗り越えて自由になった先の世界、といったところでしょうか。「悩み」というやや重苦しい内容が、この章で一気に晴れ晴れとしたものに感じられるようになります。

恐らくこのブログを見てくださっている人たちは、多かれ少なかれ「悩み」を抱えている方がいると思います。この本は手に取ってみる価値はあると思いますよ!

2 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

私は何者か20年以上考えていたことだったので、
この本の目次をみて買いました。

その他はしっかり読んでなかったのですが、
悩むことを肯定した本だったのですね。

もう一度読むのが楽しみです。

Unknown さんのコメント...

isさん、コメントありがとうございます。

私は漱石も少し読んでみようと思っています。