2008年12月9日火曜日

「残業ゼロ」の仕事力 吉越浩一郎著

私も常日頃からホワイトカラーの残業について疑問を持っていましたので、今日は、あのトリンプインターナショナルの元社長である吉越さんのベストセラーを読んでみました。



昨今ではサービス残業の問題が表面化し、私の会社でも業務終了時刻の15分後までにパソコンからログアウトすることが義務付けられていました。ただ、残業は実質自己申告制で、特別な仕事もないのに残業する、いわゆる「生活残業」をしている社員もいた事は否定できません。でも、これって当たり前の話ですよね。ゆっくり余裕を持って仕事ができて、なおかつ超勤手当てまで出る。わざわざ頑張って仕事を時間内に終わらせたり、家に持ち帰ったりしても、あまり評価はされませんし、長時間残業をした人が高く評価されてしまう、という現実も否定できません。

そんな状況に対する私の疑問に、本書は見事に答えてくれました。まず、世界的に見ても日本人だけが残業を義務化しているという点。これは、ビジネススクール時代の友人も同じようなことを言っていました。逆に欧米では「時間内に仕事が終わらないなんてダメなやつ」という見られ方をします。

また、私もよく上司から「優先順位をつけて仕事をしろ」と言われますが、著者はこれもすっぱりと否定しています。「優先順位やスケジューリングを考える時間があれば、仕事のひとつでも片付けた方がいい」これは先日私が読んだ「仕事は頭でするな、体でせよ!」や、「脳を生かす仕事術」等でも同じようなことが述べられていました。

また、「失敗に対して怒ってみたところで、どうにかなるものではない。起こる暇があったら、一刻も早く『緊急対策』を考えるべき」というのも、なかなかできないことではありますが、まさにその通りですね。

それにしても吉越さんのリーダシップは、他のリーダとは一線を画したものがあります。リーダというと「会社のために一番頑張るべき人」と思いがちですが、自ら定時で帰宅し、夜はフランス人の奥様と一緒に過ごす。欧米では本当に当たり前のことではありますが、それを日本の会社で、社長自らも含めて完全に実現させるというのは、本当に凄いことです。世の中には、社長といえども自分の意見を主張できなかったり、そもそも自分の意見を持っていなかったりする人が、(特に大企業では)多いですが、それを実現できる体制作りとリーダシップは、社員でない私にとっても尊敬に値します。

本書は、是非とも大企業の社長さんにお勧めしたい1冊ですね。

0 件のコメント: