2010年5月30日日曜日

SIMロック解除に関するガイドライン

またまた久しぶりになってしまいました。しかもまたこのネタです・・・。

「iPhoneがドコモで使える」かもしれないということで、何だか「規制緩和」のイメージがあるSIMロック解除ですが、仮にこれが「政府による義務付け」であった場合、それは政府による「規制」ですよね。

SIMロック解除を政府が義務付けることは、例えばWiiのゲームをプレイステーション3でもプレイできるように義務付けることとほぼ同じです。

政府がこういう「規制」を設けるのは、競争環境が著しく偏った場合のみ。例としては、WindowsとInternet Explorerのバンドルが挙げられます。Windowsの支配的なシェアにより、バンドルされたInternet Explorerも支配的な立場に容易に立ててしまう。この場合、累進課税と同じような考え方で規制が設けられます。

では携帯キャリアの競争環境はどうか?果たしてiPhoneでソフトバンクは支配的なシェアを手に入れることができたか?これは現時点では恐らくNoですね。むしろiPhoneによってドコモの支配的地位が徐々に揺らいで、競争環境が健全なものになりつつあるという感じでしょうか。最近ドコモも良い端末を出すようになってきてますし。

ちなみ「そもそもバンドルなんてズルい」という印象を持つ方も多いかもしれませんが、企業が競争優位性 (Competitive Advantage) を生かすという意味では必要な考え方です。Wiiからスーパーマリオが取り上げられるとしたらどうでしょう?どこに自社の競争優位性があるかを見極めてそれを最大限に生かすというのは、企業として当たり前の姿。AppleがSIMロック解除の考えに寄っているのは、彼らの競争優位性が別のところにあるからです。

総務省は「脱ガラパゴス」と言ってますが、上記の理由から、SIMロック解除したところで、日本の携帯メーカーに競争優位性がなければ何も変わらないでしょう。逆にApple等に日本国内を占拠されてしまう気がするのは、私だけではないかと思います。

「ユーザーの要望に沿うべき」という言葉も聞かれますが、これも私は危険だと思っています。スーパーマリオのようなゲームをPS3でやりたいというユーザーは少なからずいる一方で、政府が規制を作って任天堂にPS3用のスーパーマリオを出させるか?「ユーザー中心」というセリフは、私には民主党の選挙中心ポピュリズム政治の一環にしか聞こえません。政府はユーザーや企業を含め、あらゆるステークホルダーに対して中立の立場を取るべきです。

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と書きましたが、ここで「SIMロック解除に関するガイドライン(案)」を見てみると、「本ガイドラインは、事業者に対し、SIMロック解除を強制するものではない」との一文。さすがに総務省もバカではなかったです。これはあくまで規制ではなく、事業者がSIMロックを解除しようとしたときに、それを可能にするためのガイドラインという位置づけのようですね。(まぁNTTからの献金が問題視されたことによって原口大臣の意見が変わったり、NTT出身の内藤副大臣が議論を主導していたりするので、引き続き注意は必要ですが・・・)

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